『クエイ兄弟―ファントム・ミュージアム』展(渋谷区立松濤美術館)
クエイ兄弟の名前を知ったのは、おそらく今年に入ってから。神奈川での展示が終わった頃で、見逃してしまったことをとても悔やんでいたが、なんと、都内でも6月6日から始まると知って、ずっと楽しみに待っていた。
ちなみに行ったのは9日の金曜日。金曜日は渋谷区民無料の日ということで混むかと思っていたが、まだ始まったばかりのためか、かなりゆったりじっくり楽しむことができた。
クエイ兄弟の絵やデザインした書籍、立体作品だけでなく、彼らが製作したアニメーションもいくつか上映されている。あとは、ポーランドのポスターなども。
初めて目にしたクエイ兄弟だが、なんだか埃っぽさのある香りだな、という印象。文章だけみると非常に失礼な感想だと思われるかもしれないが、どこかほっとするような、でも不安になるような印象で、私はクエイ兄弟のことが大変好きになったのである。実家の屋根裏部屋に似た印象。
私が大好きなブルーノ・シュルツ原作の『ストリート・オブ・クロコダイル』『砂時計サナトリウム』や、『さほど不思議ではない国のアリス』などのアニメーション作品が楽しかった。椅子に座って見ることができたのもありがたい。アニメーションだからなのか、小さなお子様もいらっしゃったが、子ども向けというよりは大人向けのアニメーションなのではないかな。仮面のように眼球が入っていない人形などが沢山出てくるし、画面は全体的に暗い感じだし。
『BBC2のアイデント』というデコールを真ん中についているあのレンズ越しで見るのと、レンズの外側で見るのでは見え方が面白いほど変化する。某グループのチューチュートレインの振り付けな感じで顔と上体を回すように屈伸すると、なんと!眼球がくるくる回っているように見えるのである!!楽しい!!!是非、お試しあれ。
入場券の半券を、観覧日翌日以降に持っていくと2割引で見られるというリピーター優待や、イメージ・フォーラムという映画館でのクエイ兄弟関連作品上映会との相互割引もあるらしい。
チケットを購入する1階には、ストリート・オブ・クロコダイルのデコールがあり、作品のすぐそばに書かれているルールに従えば撮影可となっている。
(我ながら下手な写真だなぁ……)
6月17日のお誕生日には、デコール『プラハの錬金術』(アルチンボルトが描いたルドルフ二世が真ん中にいる作品。机の下にはカフカなどの作家の名前が背表紙にかかれた本が並んでいる。)が、当日のみ撮影可となるようだ。お写真を撮るのが好きな方にはうれしいイベント。私は写真が本当に下手なので、行こうかどうかすっごく迷っている。
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