ウォン・カーウァイ監督『花様年華』

ル・シネマで特集をやっているから全部観る!という記事をあげておきながら、結局『天使の涙』しか観ることができず悔しい思いをしていたのだが、なんと!ル・シネマにてアンコール上映!!やっていたのだ!!!

情報を手にいれて30分以内に渋谷へ移動していた。これはもう、私に観ろと言っているんだと思って。

 

天使の涙』と比べるとカメラの動きがとても落ち着いていて、少し物足りなさを感じる。しかしそのかわり(かわりではないだろうけど?)、鏡を素敵に使っていたように思えた。後ろ姿をカメラで撮っているが、表情は鏡に写っているからわかるという場面や、鏡に写った顔が向かい合っているようになっていたりする場面など。そういえば、直接鏡を使っていなくても、「花様的年華」を二人がそれぞれの部屋で聴いているとき、鏡像みたいになっていたなあ。

チャイナドレスがとても素晴らしくって、もっと日本でも日常的に着ることができるようになればよろしいのにと、とても強く思う。

腰のあたりのラインが素晴らしいのなんのって。

『クエイ兄弟―ファントム・ミュージアム』展(渋谷区立松濤美術館)

クエイ兄弟の名前を知ったのは、おそらく今年に入ってから。神奈川での展示が終わった頃で、見逃してしまったことをとても悔やんでいたが、なんと、都内でも6月6日から始まると知って、ずっと楽しみに待っていた。

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ちなみに行ったのは9日の金曜日。金曜日は渋谷区民無料の日ということで混むかと思っていたが、まだ始まったばかりのためか、かなりゆったりじっくり楽しむことができた。

 

クエイ兄弟の絵やデザインした書籍、立体作品だけでなく、彼らが製作したアニメーションもいくつか上映されている。あとは、ポーランドのポスターなども。

初めて目にしたクエイ兄弟だが、なんだか埃っぽさのある香りだな、という印象。文章だけみると非常に失礼な感想だと思われるかもしれないが、どこかほっとするような、でも不安になるような印象で、私はクエイ兄弟のことが大変好きになったのである。実家の屋根裏部屋に似た印象。

 

私が大好きなブルーノ・シュルツ原作の『ストリート・オブ・クロコダイル』『砂時計サナトリウム』や、『さほど不思議ではない国のアリス』などのアニメーション作品が楽しかった。椅子に座って見ることができたのもありがたい。アニメーションだからなのか、小さなお子様もいらっしゃったが、子ども向けというよりは大人向けのアニメーションなのではないかな。仮面のように眼球が入っていない人形などが沢山出てくるし、画面は全体的に暗い感じだし。

 

『BBC2のアイデント』というデコールを真ん中についているあのレンズ越しで見るのと、レンズの外側で見るのでは見え方が面白いほど変化する。某グループのチューチュートレインの振り付けな感じで顔と上体を回すように屈伸すると、なんと!眼球がくるくる回っているように見えるのである!!楽しい!!!是非、お試しあれ。

 

 入場券の半券を、観覧日翌日以降に持っていくと2割引で見られるというリピーター優待や、イメージ・フォーラムという映画館でのクエイ兄弟関連作品上映会との相互割引もあるらしい。

 

チケットを購入する1階には、ストリート・オブ・クロコダイルのデコールがあり、作品のすぐそばに書かれているルールに従えば撮影可となっている。

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(我ながら下手な写真だなぁ……)

6月17日のお誕生日には、デコール『プラハ錬金術』(アルチンボルトが描いたルドルフ二世が真ん中にいる作品。机の下にはカフカなどの作家の名前が背表紙にかかれた本が並んでいる。)が、当日のみ撮影可となるようだ。お写真を撮るのが好きな方にはうれしいイベント。私は写真が本当に下手なので、行こうかどうかすっごく迷っている。

 

関連書籍:

クエイ兄弟 ファントム・ミュージアム/クエイ兄弟/クエイ兄弟 - 紙の本:honto本の通販ストア

ローベルト・ヴァルザー作品集 4 散文小品集 1/ローベルト・ヴァルザー/新本 史斉 - 小説:honto本の通販ストア

消去 新装版/トーマス・ベルンハルト/池田 信雄 - 小説:honto本の通販ストア

カフカ青空文庫アプリで読める。

ウォン・カーウァイ特集『天使の涙』

『メットガラ』でゴルチエウォン・カーウァイ監督に言及している部分があると聞き、この監督の作品に興味を持っていたところ、Bunkamura ル・シネマで特集として過去の4作品を上映するという素敵なニュースが!

<『メットガラ ドレスをまとった美術館』公開記念>ウォン・カーウァイ特集 開催決定! | ニュース&トピックス | Bunkamura

余談だが、宇野亞喜良著『定本 薔薇の記憶』を読んでいる最中、監督のお名前が出てきて、なんだか運命を感じた。185ページあたりに、運命。

 

時系列が溶け合い視点が混ざり合うこの映画は、フアン・ルルフォの『ペドロ・パラモ』を思い出させる。血と埃の匂い。殺し屋が何故殺し屋をしているのか、女性エージェントとはどこで知り合ったのか、アパート管理人の息子は何故夜間に他人のお店を開くのか。そんなことはどうだっていい。ただくるくると変化するカメラワークに導かれ、彼らの恋を垣間見れれば、それで。百聞は一見に如かず、という言葉がとてもよく似合う映画である。

どうしよう、まだ1作品しか観ていないのに、好きな監督は?と尋ねられたらルシール・アザリロヴィック監督と並べてこの監督のお名前を挙げてしまいそうだ。

 

6月9日金曜日までに残りの作品全てを観ようと思ってます。ええ。

 

参考図書:

ペドロ・パラモ (岩波文庫)/フアン・ルルフォ/杉山 晃 岩波文庫 - 紙の本:honto本の通販ストア

ウォン・カーウァイ×モー・イエン ラテンアメリカに恋したアジアの“純真”たち (トーキングヘッズ叢書)/アトリエサード - 小説:honto本の通販ストア

王家衛的恋愛/北小路 隆志 - 紙の本:honto本の通販ストア

北川健次写真展

LIBRAIRIE6さんにてフライヤーを見かけ、とても気になって、暑さにも負けず水天宮前のギャラリーサンカイビさんへ。

最終日に間に合って良かった……

 

お写真やオブジェ、エッチングが展示されており、作品の本だけでなく、与謝蕪村と西洋美術との繋がりについての著作もあった。ハンス・ベルメールのウニカ・チュルン緊縛写真のページや、ベックリンの「死の島」のページをさらっと読ませて頂いたがとても面白かった。

今度新潮社からも本をお出しになるそう。チェックせねば。

 

西洋の静謐なお写真が多かった。中でも螺旋階段のお写真が気になった。青いタイルの四角と同心円上に広がっていく階段の対比が、とても美しく思えて。青は他の作品でもとても美しく効果的に登場していた。彫像のお写真も素敵。駝鳥と少年のエッチングの几帳面さと、黄色い画材の自由奔放さも好きだ。サイコロが入ったオブジェも気になった。作家さんに対する知識が無さすぎるので、これから勉強していきたい。

 

北川さんが画廊にいらっしゃって、お声かけをしていただけたのだが、緊張してしまってカオナシになった。後悔&反省しています……いい加減成人したのだし、発言の最初に「あっ」を入れるのをやめたい。あと、住所記入のスマートな断り方も身につけたい。「ネットでまめに調べているので大丈夫です!」と言えば良かったな……

 

参考図書:

美の侵犯 蕪村×西洋美術/北川 健次 - 小説:honto本の通販ストア

渦巻カフェあるいは地獄の一時間/野村 喜和夫/北川 健次 - 小説:honto本の通販ストア

サン・ラザールの着色された夜のために 北川健次写真集/北川 健次 - 紙の本:honto本の通販ストア

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オリエント工業40周年記念展「今と昔の愛人形」

SPIN GALLERYの「八月のアリス」展で初めて目にし、『LOVE DOLL×SHINOYAMA KISHIN』の写真展でその魅力に溺れた、オリエント工業のドール。

もっと知りたいと思っていたので、アツコバルーのオリエント工業展で学びを深めてきた。

 

年表を背景に、いくつかピックアップされた歴代ラブドール。オブジェの一部となったドール。アレンジメイクを施されたドールヘッド。篠山さんの撮影で実際に使用されたドール。片方の乳房を揉むともう片方からドリンク(私が行ったときは白ワイン)が出てくる、お話するパーティードール。

パーティードールからドリンクが出てくる様子をみたかったが、アルコールにとても弱いため断念。アルコールに弱い方は、強い方を連れていくと良いかと思われる。声も艶っぽく、愛らしかったです。

ドールヘッドはアレンジメイクを施されているだけでなく、顔の型もそれぞれ違っていたり、同じ顔のタイプでも唇の開き具合が異なっていたりし、全く違う印象になっていた。私も藝大の卒業生にメイクしてもらったら素敵な顔になるんじゃないかな、そんなことはないか。

オリエント工業はお勤めを終えたドールのために神棚に祀ったりしているそうだが、会場には神棚に祀られるどころかご神体になってしまったドール(一部)もいた。あの部分だけがどーん!と祀られていた。

会場に展示はなく、年表のコーナーで知ったが、歯学生のための口腔モデルの開発にも協力しているそう。そろそろオリエントドールをマネキンにする服屋が現れても良いころなのではないか。とってもかわいいし、素っ気ないマネキンよりは購買意欲が増しそうなものだが。

一番ぞくぞくしたのは、肌の滑らかさでもなく(それもあるけど)、胸の大きさ・弾力でもなく(それもあったけど)、うっすら透けているように見えるとっても自然な静脈メイクなのでだった(大ぞくぞく)。胸元や手背、肘関節の内側などなど。指関節のしわまでしっかりあったのもぞくぞくした(小ぞくぞく)。

 

篠山さんの作品以外はお写真を撮れるのも良かった。

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関連書籍:

愛人形 LoveDollの軌跡 オリエント工業40周年記念書籍/オリエント工業 - 紙の本:honto本の通販ストア

人造乙女美術館 Jewel/オリエント工業/大沢 尚芳 - 紙の本:honto本の通販ストア

LOVE DOLL×SHINOYAMA KISHIN/篠山紀信 - 紙の本:honto本の通販ストア

「夢の植物園」展

恵比寿のギャラリー、LIBRAIRIE6へ行ってきた。

「夢の植物園」の名の通り、植物をモチーフにしたコラージュ・絵画・オブジェ・写真などが展示されていた。

この世のどこにもきっと存在しないが、この世のどこかに存在してほしいと願ってしまう、素敵な植物たち。

特に薔薇が多く、五月というこの季節を楽しむこともできた。

ロバと王様とわたし/あしたはみんな死ぬ/ロバは病気で/王様は退屈で/私は恋で/時は五月/

お土産に買った『定本 薔薇の記憶』宇野亞喜良著に載ってた、ジャック・プレベール「五月の唄」という詩である。

退屈で死ぬのは王妃だけではないんだなあ……

 

私のお気に入りは、野中ユリさんのデカルコマニー(特に、黒い花を分解して白い紙の上に解剖図のように並べたもの)と、桑原弘明さんのオブジェ。

緑の薔薇のカードも素敵でした。

 

関連書籍:

定本薔薇の記憶 (立東舎文庫)/宇野 亞喜良 - 紙の本:honto本の通販ストア

フローラ逍遙 (平凡社ライブラリー)/渋沢 竜彦 平凡社ライブラリー - 紙の本:honto本の通販ストア

幻想植物園 花と木の話

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『四谷シモン ベルメールへの旅』菅原多喜夫 著

2010年に、ポーランドで開催された『四谷シモンと友人たち 日本におけるベルメール展』に、展覧会の企画に関わり、学芸員として四谷シモンに同行した菅原多喜夫によって記された旅の記録。

成田空港出発から、モスクワ、そしてワルシャワ、カトヴィツェ、クラクフアウシュヴィッツヴロツワフの散策について日記風に書かれている(勿論、展覧会のことも!)。

honto.jp

思っていたよりも食べ物のことと観光のことが充実しており、ポーランドへ旅行してみたい方も楽しめるのではないかな?

食べ物はシンプルなサラダに始まりウィンナー・シュニッツェル、パリの雰囲気を漂わせるカフェ、ポーランド名物のキノコのクリーム・スープとピエロギ、ホテルのビュッフェ、ユダヤ料理のレストラン、ホテルの朝食、ハンガリー料理などなど……メニューだけでなく値段についても書かれているので、旅行の計画を立てるときにも参考になりそう。

ユダヤ料理レストランでの、牛肉・蜂蜜・シナモンのスープがとても気になる。

観光に関しては、ポーランドに関する予備知識に自信がなくても、菅原氏が丁寧に歴史についても解説してくれているため、本に置いていかれるということが全くない。

 

ポーランド……

ベルメールだけでなく、ブルーノ・シュルツやズジスワフ・ベクシンスキ、フレデリック・ショパンは大好きだし、スタニスワフ・レムは気になるし、映画『イーダ』も好きだし……

死ぬまでには一度行ってみたいものです。

 

 

関連書籍

ハンス・ベルメール 増補新版 (シュルレアリスムと画家叢書 骰子の7の目)/ハンス・ベルメール/サラーヌ・アレクサンドリアン - 本:honto本の通販ストア

SIMONDOLL/四谷 シモン - 本:honto本の通販ストア

シュルツ全小説 (平凡社ライブラリー)/ブルーノ・シュルツ/工藤 幸雄 平凡社ライブラリー - 小説:honto本の通販ストア